取引先ごとに書式や条文の表現が異なる契約書から、必要な情報を探して確認する作業には時間がかかります。この記事では、契約書から条項・期日・金額を抽出し、期限管理やレビュー、契約条件の比較に活用する方法を解説します。
契約書から抽出する情報には、当事者名、契約期間や更新期限などの期日、契約金額や支払条件などの金額に関する情報、解除・損害賠償・違約金などの条項があります。
こうした情報は、決まった項目欄に記載されているとは限りません。「本契約の有効期間は〜」のように条文の中に文章で記載され、契約書ごとに表現や構成が異なることもあります。そのため、文字を読み取るだけでなく、文章の文脈を解析し、必要な情報を項目ごとに抽出する仕組みが役立ちます。
紙の契約書をスキャンしたPDFや、押印・手書きの修正がある文書を扱う場合は、画像から文字を読み取るOCRの精度も重要です。文字の読み取りに誤りがあると、その後の情報抽出にも影響するため、文書の状態や読み取り結果を確認できるかも選定時にチェックしましょう。
契約期間、自動更新の有無、解約の申し出期限などをデータ化すると、契約ごとの期限を一覧で把握できます。契約書を1件ずつ開いて該当箇所を探す手間が減り、更新や解約の検討が必要な契約も見つけやすくなります。
ただし、期限を適切に管理するには、抽出した日付だけでなく、期限の意味や起算日、通知方法などの条件も確認することが大切です。抽出結果を確認したうえで、契約管理台帳や期限通知の仕組みと連携すれば、期限管理の効率化につながります。
解除条件、損害賠償、秘密保持などの条項を項目単位で蓄積すると、類似する条項や過去の契約を横断的に検索できます。確認したい条項や比較対象を絞り込み、契約レビューの補助として活用できることがメリットです。
AIによる抽出や検索は、確認が必要な箇所を探す作業を支援するものです。条文の意味や契約全体との関係、法的なリスクを判断するには文脈の確認が必要なため、重要な条項や抽出結果は担当者が原文と照合する運用が欠かせません。
契約金額や支払条件、違約金などの情報を抽出しておくと、取引先や契約類型ごとに条件を整理して比較することが可能です。新しい契約の条件を過去の契約と照らし合わせることで、確認が必要な違いや変更点を見つける手がかりになります。
比較する際は、金額だけでなく、税の扱い、支払時期、適用条件なども含めて確認しましょう。数値が抽出できていても、条件や単位が異なれば単純に比較できない場合があります。
契約書には、取引条件や個人情報、秘密情報などが含まれる場合があります。クラウド型のサービスを利用する際は、入力したデータの保存先やアクセス制御、データの保持・削除条件、AIの学習への利用有無を確認しましょう。
社外のサービスに文書をアップロードできない場合は、オンプレミス環境やセルフホスト型で利用できるかも選定基準になります。ただし、導入形態だけで安全性が決まるわけではありません。利用環境や運用体制、社内のセキュリティ要件に合っているかを確認することが重要です。
また、抽出結果は必ずしも原文と一致するとは限りません。日付、金額、契約期間、解除条件などの重要項目は原文と照合し、必要に応じて担当者が修正・承認する手順を設けましょう。
契約書のデータ抽出では、条文の中に記載された条項・期日・金額などを項目ごとに取り出し、期限管理やレビュー、契約条件の比較に活用できる形で蓄積することが大切です。
抽出結果を原文と照合する手順や、機密文書を適切に扱うための運用もあわせて整えることで、契約管理業務の効率化につなげやすくなります。
当メディアでは、インテリジェントドキュメント処理(IDP)の仕組みや、文書データの抽出・活用に関する情報を紹介しています。データ抽出AIの基本や注意点については、以下のページもご覧ください。
ここでは、法務・経理・調達それぞれの部門向けにおすすめのインテリジェントドキュメント処理ツールをご紹介。日本法人を持つメーカーの中から、各部門の文書処理に活用しやすい製品を調査しました。
過去の契約書をナレッジとして活用できておらず、毎回ゼロからレビューしている
PDFを条項・金額などの項目単位で構造化データに変換し、標準的なOCRの枠を超えて文脈を正しく理解。全文を人がレビューするやり方から「AIが絞り込み→人が最終判断」のフローへ切り替え、工数を削減可能。
データは外部AIの学習に使われる心配がなく、専用ナレッジに蓄積。自社データだけを対象に、AIが全契約を横断照合し、「違約金が相場より高い」などのリスクを自動特定。1件ずつ開いて確認する作業がなくなる。
月末・期末に処理が集中し、担当者の残業が常態化している
日本語の請求書に対応した事前学習済みAIモデルを搭載しており、テンプレート設定やAIの個別トレーニングは不要。導入直後から活用しやすく、請求書が集中する月末・期末でもスムーズに処理。
RPAツールやSAP・OracleなどERPとの連携機能を標準搭載。連携環境を一から構築する負担を抑えながら、抽出した請求書データを社内システムへそのまま自動登録できる。
品番や備考欄の特殊条件が書類によって異なり、人が読み解く手間が発生している
独自開発AIにより「この位置に品番がある」といった固定パターンに依存せず、帳票内の品番や特殊条件などを抽出。取引先ごとに形式が異なる書類でも、項目の位置や表記ゆれに対応しやすい。
レイアウトをテンプレートなしで視覚的に理解できるコンピュータビジョンにより、新しい帳票でも再学習・調整なしで処理を開始。サプライヤーが増えるたびに設定をやり直す運用負荷を軽減。