PDFやスキャン文書などの処理を自動化・効率化するツールとして注目を集めているのが、インテリジェント文書処理(IDP)ツールです。この記事では、IDPツールの概要や選び方、編集部が厳選したツールの特徴をまとめてご紹介します。
インテリジェント文書処理ツールとは、PDFやスキャン文書などの非構造化文書をAIで解析し、業務に活用できるデータへ変換するツールです。紙やスキャン画像の文字を読み取る技術であるOCRに加え、コンピュータビジョンによるレイアウト認識や自然言語処理による文脈解析。
さらに機械学習を組み合わせることで請求書や契約書から必要な情報を正確に抽出し、業務システムと連携できるデータ形式へと変換します。
書類の内容を人が一件ずつ確認・転記する手間を減らし、担当者は例外対応や最終確認といった判断業務に集中しやすくなるでしょう。
IDPツールを選ぶ際は、自社の導入目的を整理したうえで、具体的な比較ポイントを確認していくとスムーズに選定できます。
はじめに、部門ごとに取り扱う書類の種類や処理量を整理しましょう。同じ業界内でも、経理部門が処理する請求書と法務部門が確認する契約書では、文書のフォーマット・抽出すべきデータ・連携先のシステムが同じとは限りません。
また、請求書や契約書、見積書など、扱う書類によって各ツールの得意領域は異なるため、どの業務をどの程度効率化したいかを明確にすることが大切です。
特に機能面では、非定型文書や手書き文書への対応可否が重要です。ツールが対応する書類の様式が自社で処理したい書類と合致している必要があるため、事前にしっかりと確認しておきたいポイントといえます。
既存の業務システムとの連携性、セキュリティ対応の範囲、クラウドやオンプレミスといった提供形態も、自社のセキュリティポリシーや運用方針に合わせて確認が必要です。
| 比較ポイント | 確認内容 |
|---|---|
| 費用・導入ステップ | 初期費用・月額費用の有無、テスト運用の可否や無料プランの範囲 |
| 非定型・手書き対応 | フォーマットが異なる文書や、手書き文字への対応精度 |
| 連携・拡張性 | 既存の業務システムやRPAツールとの連携方法、データ処理量を拡大した際の対応力 |
| セキュリティ | 暗号化やアクセス制御の仕様、取得しているセキュリティ認証 |
| 提供形態 | クラウド・オンプレミス・APIなど、自社の運用方針に適した形態か |
導入するIDPツールの候補を広く確認したい方向けに、代表的なツールをご紹介します。まずは編集部の調査をもとに注目度の高い3ツールをピックアップしましたので、こちらからご参照ください。
数あるIDPツールの中から、編集部の調査でわかった特におすすめの3ツールをご紹介します。扱う文書の種類や求められる処理は部門ごとに大きく異なるため、法務・経理・調達それぞれの部門ごとに徹底調査。各部門の文書処理に活用しやすい製品をわかりやすくまとめました。
過去の契約書をナレッジとして活用できておらず、毎回ゼロからレビューしている
PDFを条項・金額などの項目単位で構造化データに変換し、標準的なOCRの枠を超えて文脈を正しく理解。全文を人がレビューするやり方から「AIが絞り込み→人が最終判断」のフローへ切り替え、工数を削減可能。
データは外部AIの学習に使われる心配がなく、専用ナレッジに蓄積。自社データだけを対象に、AIが全契約を横断照合し、「違約金が相場より高い」などのリスクを自動特定。1件ずつ開いて確認する作業がなくなる。
月末・期末に処理が集中し、担当者の残業が常態化している
日本語の請求書に対応した事前学習済みAIモデルを搭載しており、テンプレート設定やAIの個別トレーニングは不要。導入直後から活用しやすく、請求書が集中する月末・期末でもスムーズに処理。
RPAツールやSAP・OracleなどERPとの連携機能を標準搭載。連携環境を一から構築する負担を抑えながら、抽出した請求書データを社内システムへそのまま自動登録できる。
品番や備考欄の特殊条件が書類によって異なり、人が読み解く手間が発生している
独自開発AIにより「この位置に品番がある」といった固定パターンに依存せず、帳票内の品番や特殊条件などを抽出。取引先ごとに形式が異なる書類でも、項目の位置や表記ゆれに対応しやすい。
レイアウトをテンプレートなしで視覚的に理解できるコンピュータビジョンにより、新しい帳票でも再学習・調整なしで処理を開始。サプライヤーが増えるたびに設定をやり直す運用負荷を軽減。
PDFや画像などの非構造化データを項目単位で解析し、契約書や帳票をAI活用しやすい構造化データへ変換します。また、データを外部AIの学習に使われない形で専用ナレッジに蓄積。クラウドとオンプレミスの両方に対応し、機密文書を扱う部門でも検討しやすい点が強みです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対応文書 | 契約書・請求書・帳票などの 非構造化文書、非定型文書 |
| 処理機能 | 文書解析、KVP抽出、文書抽出、 ドキュメントQ&A |
| 導入形態 | クラウド/ セルフホスト型 (オンプレミス) |
事前学習済みの「スキル」をマーケットプレイスからダウンロードして使えるノーコードのAI-OCRプラットフォームです。専門知識やテンプレート設計がなくても、導入直後から高い精度でデータ抽出を始められます。ERPやRPAツールとの連携コネクタも標準で備わっており、既存システムとの接続もスムーズです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対応文書 | 請求書・領収書・運送状など 定型・非定型文書、手書き文字 |
| 処理機能 | 文書分類、データ抽出、 継続学習、学習済みスキル |
| 導入形態 | クラウド、API、SDK |
書類全体の文脈を推論する独自開発のAI「Process Reasoning Engine」を搭載したIDPツールです。テンプレートを作らずに多様なレイアウトを読み取れるため、サプライヤーごとに書式が異なる文書を多く扱う企業に向いています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対応文書 | 請求書・契約書・ 発注書など構造化・非構造化文書 |
| 処理機能 | データ抽出、文書分類、 検証/レビュー、高度OCR |
| 導入形態 | クラウド、オンプレミス、 API |
法務・経理・調達といった部門別におすすめの製品3つをご紹介しました。当メディアでは、3つの製品それぞれについて、上記だけでは伝えきれなかった魅力や経営にもたらすメリット、具体的な活用例まで詳しく解説しています。
インテリジェントドキュメント処理ツールの比較・検討を進める際の材料として、ぜひご活用ください。
上記3ツールに加えて、その他のIDPツールも以下でご紹介します。
Amazon Textractなどの機械学習サービスを組み合わせて構築するIDPツールです。請求書や領収書、本人確認書類などの帳票から必要な項目を抽出でき、信頼度スコアも取得できます。最低料金や前払いの義務がなく、少量の文書からでも検証を始めやすい従量課金制を採用しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対応文書 | 請求書・領収書・本人確認書類・融資関連文書など |
| 処理機能 | OCR、フォーム/表抽出、請求書・領収書処理、信頼度スコア取得 |
| 導入形態 | クラウド/API(AWSマネジメントコンソール、CLI、SDK) |
AI Builderの機能を使うことで、コーディングの知識がなくても文書処理モデルを構築できるサービスです。請求書や領収書、本人確認書類など複数の帳票に対応する事前構築モデルに加え、日本語を含む多言語対応のモデルも用意されています。抽出結果はPower Automateのフローと連携できます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対応文書 | 請求書・領収書・本人確認書類・固定テンプレート文書など |
| 処理機能 | OCR、分類/カテゴリ化、フィールド/テーブル抽出、事前構築モデル |
| 導入形態 | クラウド(Power Automate/AI Builder/Dataverse) |
継続的な機械学習とLLMを組み合わせ、SAPやSalesforceなどの業務システムと深く連携できる点が特徴です。紙やメール、PDFなど複数の経路から届く文書を一つの基盤に取り込み、分類から抽出、検証までを一気通貫で処理できます。85の言語とロケールに対応しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対応文書 | 紙・メール・PDF・画像など半構造化・非構造化文書 |
| 処理機能 | OCR/情報キャプチャ、文書分類、データ抽出/検証、継続的機械学習 |
| 導入形態 | クラウド/SaaS(OpenText public cloud) |
コンテンツ管理基盤Content Innovation Cloud上で動作し、自然言語のプロンプトだけでワークフローを構築できるサービスです。表やチェックボックス、手書き文字など多様な要素を含む文書にも対応し、分類から抽出、検証までを一連の処理としてカバーします。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対応文書 | 請求書・契約書・メール・画像など半構造化・非構造化文書 |
| 処理機能 | AI文書キャプチャ、文書分割・分類、データ抽出/検証、OCR/ICR |
| 導入形態 | クラウド(オンプレ/SDK提供は未確認) |