企業の現場では請求書や契約書、注文書、申込書、各種の紙書類など多種多様な文書を取り扱っており、部門によってデータを構造化する目的も分かれます。
この記事では、書類の種類別にはどのような項目を構造化すべきなのか、そしてその実務への活用方法について整理して解説します。手作業による負担が大きい書類を特定し、システム化の優先順位を検討する際の参考としてください。
請求書の構造化においては、請求日や請求番号、取引先名、明細、税区分、支払期日を項目ごとに切り出し、会計システムへ連携可能な形式に整えるアプローチが中心となります。
月末に集中しがちなデータ入力作業を削減し、最終的な確認や承認のプロセスに注力できる環境を構築する流れです。具体的な手順や実務における留意点については、以下のページで詳しく紹介しています。
契約書の構造化では、契約期間や更新条件、解除条件、当事者名、契約金額などを項目ごとに抽出する処理を行います。秘密保持契約(NDA)や取引基本契約書などの機密性の高い文書を扱う場合は、オンプレミス型のシステム基盤を採用することにより、社外のクラウド環境にデータを送信することなく安全に処理を完結させることが可能です。
また、過去の契約書を構造化データとして蓄積しておけば、類似条項の検索や更新期限の管理業務もスムーズに進行できるようになるでしょう。
注文書の構造化では、品番や品名、単価、数量、納期、サプライヤー名、支払条件といった項目を識別して取り出す設計が基本です。
数十社から届くフォーマットの異なる注文書を目視で確認し、基幹システムへ手入力しているような現場でも、注文書データを項目ごとに構造化することでシステムと連携する体制が整います。
申込書の構造化においては、氏名、連絡先、申込内容、選択プラン、同意事項といった要素を項目ごとに整理する手法が用いられます。手書き書類や印刷物、PDFデータが混在している環境でも、AIを活用したデータ抽出の仕組みを導入することで、受付から入力、確認にいたる一連の作業をシステム化できる仕様です。
顧客管理システムへの直接連携により、手作業に伴う転記ミスや処理遅延のリスクを抑えた運用へと移行できます。
紙ベースで保管されている書類の構造化は、スキャナーによる電子化、OCRによるテキスト化、AIによる項目抽出という3つのステップに沿って進行するのが一般的です。古い契約書や過去の受発注伝票、申請書など、これまで倉庫などに眠っていた文書を構造化することにより、必要な情報の検索性やデータの再利用性が向上するメリットが生まれます。
なお、画質に課題がある原紙については、OCR処理を行う前段階で傾き補正やノイズ除去といった画像補正を施す設計にすることで、抽出データの精度が安定しやすくなるはずです。
請求書をはじめとする各種の業務書類から必要な要素を整理して構造化データへと変換することは、システム間のデータ連携や将来的なデータ分析を行うための強固な土台となります。
自社において手作業のボトルネックとなっている書類を見極め、データ化すべき項目と連携先のシステムを明確にした上で、書類の分類からデータ抽出、整合性の検証、そして後続システムへの自動連携にいたる一連のプロセスを組み立てていくアプローチが有効です。
この一連のプロセスをAIでまとめて担い、活用しやすい構造化データへと変換する仕組みが「インテリジェントドキュメント処理(IDP)」です。分類から抽出、検証、連携までを一貫して自動化できるため、業務ごとに異なる書類のデータ化を効率的に進め、データ活用の基盤づくりをスムーズに実現できます。
当メディアではインテリジェントドキュメント処理の仕組みについてイラストでわかりやすく解説。ぜひご覧ください。
ここでは、法務・経理・調達それぞれの部門向けにおすすめのインテリジェントドキュメント処理ツールをご紹介。日本法人を持つメーカーの中から、各部門の文書処理に活用しやすい製品を調査しました。
過去の契約書をナレッジとして活用できておらず、毎回ゼロからレビューしている
PDFを条項・金額などの項目単位で構造化データに変換し、標準的なOCRの枠を超えて文脈を正しく理解。全文を人がレビューするやり方から「AIが絞り込み→人が最終判断」のフローへ切り替え、工数を削減可能。
データは外部AIの学習に使われる心配がなく、専用ナレッジに蓄積。自社データだけを対象に、AIが全契約を横断照合し、「違約金が相場より高い」などのリスクを自動特定。1件ずつ開いて確認する作業がなくなる。
月末・期末に処理が集中し、担当者の残業が常態化している
日本語の請求書に対応した事前学習済みAIモデルを搭載しており、テンプレート設定やAIの個別トレーニングは不要。導入直後から活用しやすく、請求書が集中する月末・期末でもスムーズに処理。
RPAツールやSAP・OracleなどERPとの連携機能を標準搭載。連携環境を一から構築する負担を抑えながら、抽出した請求書データを社内システムへそのまま自動登録できる。
品番や備考欄の特殊条件が書類によって異なり、人が読み解く手間が発生している
独自開発AIにより「この位置に品番がある」といった固定パターンに依存せず、帳票内の品番や特殊条件などを抽出。取引先ごとに形式が異なる書類でも、項目の位置や表記ゆれに対応しやすい。
レイアウトをテンプレートなしで視覚的に理解できるコンピュータビジョンにより、新しい帳票でも再学習・調整なしで処理を開始。サプライヤーが増えるたびに設定をやり直す運用負荷を軽減。